• TOP
  • 記事一覧
  • 金地金取引のリスクと対策方法を徹底解説

金地金取引のリスクと対策方法を徹底解説

金地金取引のリスクと対策方法を徹底解説

金地金取引はインゴットやゴールドバーと呼ばれる成形された金の現物を取引する投資方法です。金投資の中でも金地金取引は金の価値を直接的に生かせる点が特徴です。

ただ、金地金取引には他の投資と同様にリスクがあります。この記事では金地金取引をするときに知っておきたいリスクと、リスク対策の方法をまとめました。

金地金は資産として重要な価値があります。リスク対策をして賢く運用し、金地金取引で資産を築き上げていきましょう。

金地金取引におけるリスク

金地金取引は現金と金地金の売買による投資取引です。日本円で金地金を購入したり、売却したりすることによって資産を増やすことを目指します。

金は長い世界の歴史の中で価値が高まってきた経緯があるため、金地金取引をすれば資産形成になると考えられるでしょう。ただ、どのような投資にもリスクがあります。
金地金取引をするときにどのようなリスクがあるかを確認しておきましょう。

金相場の下落

金地金取引では金が安いときに購入して、高いときに売ることで現金としての利益を得る投資取引です。金相場が上がり続けていれば利益になるのは明らかですが、金相場が下落するリスクはあります。

金価格のチャートを見ると、一日の間でも大きく価格が上下動を起こしていることがわかります。

1日の金価格チャート
1日の金価格チャート

金価格は長い目で見れば価値が上がってきていますが、数時間、数日、数ヶ月といったタイムスパンでは必ずしも価格が上がっているわけではありません。

金地金を購入した直後に相場が下がってしまうリスクもあります。金の相場はさまざまな要因によって変動します。
金産出国が経済的に厳しくなり、産出量を増やす方針を立てると、流通量が増えるので金の相場は下がる傾向が生まれます。

また、金はリスクヘッジ資産としても知られているため、有事のときには金が買われて相場が上がるのが一般的です。逆に、紛争や自然災害などによる有事の状況が解消されると金が売られて相場が下がります。

このような金相場の変動は政治や経済の影響によっていつでも起こるので、売買をするタイミングによっては資産が減るリスクがあります。

手数料の負担

金地金取引では手数料の負担によって資産を減らす結果になるリスクがあります。例えば、金地金をオンラインで購入して自宅に送ってもらう場合には、購入手数料や売却手数料、送料がかかるのが一般的です。金地金業者としては金の売買取引によって利益を得なければならないので購入手数料を申し受けるのはもっともなことでしょう。

金の購入手数料は金地金の重量によって決められていて、500g未満のときには1,100円~16,500円くらいかかります。500gや1kgの金地金の購入では手数料がかからないのが一般的です。

例)徳力本店の購入手数料
購入手数料

  • 金地金:
  • 1,000g、500g → 無料
  • 300g、200g、100g → ¥5,500
  • 50g → ¥4,400
  • 30g → ¥3,300
  • 20g、10g、5g → ¥2,200
  • 1g → ¥880

小さな金地金の購入のときに手数料がかかるのは、金地金業者が成型をしているからです。重量ごとに正確に鋳造をし直して金地金を提供しているため、その分の費用を購入手数料として請求しています。

また、業者によっては550円~16,500円程度の売却手数料もかかります。購入手数料と同様に500g以上の場合には手数料がかからないのが一般的ですが、重量の小さい金地金の売却では手数料が必要な場合がほとんどです。

例)徳力本店の買取手数料
買取手数料

  • 金地金:
  • 1,000g、500g → 無料
  • 300g、200g、100g → ¥5,500
  • 50g → ¥4,400
  • 30g、20g、10g → ¥2,200
  • 5g → ¥550
  • 1g → ¥0

送料については店頭で受け取って持って帰れば無料で対応してくれる業者もあります。しかし、通常は購入した金の総重量に応じて数千円程度の送料を負担しなければなりません。

売却するときにも店頭に持ち込んで売却すれば送料はかかりませんが、宅配便などで送る場合には自分で送料を負担する必要があります。

税金の負担

金地金取引では購入時と売却時にどちらも税金を納めなければならない場合があります。金地金を購入して受け取ったときには消費税を業者から請求されます。

金は軽減税率の対象ではないので10%の支払いが必要です。

金地金を売却したときには、利益があった場合には税金を納める必要があります。基本的に金地金の売却は物的資産の譲渡とされるため、利益があったときには譲渡益になります。

譲渡益があったときには譲渡所得として取り扱い、税額を計算して確定申告することが必要です。譲渡所得の税率は一律で所得税15%、地方税5%なので、株式投資や投資信託による申告分離課税の20.315%と同じ水準です。

かかる税金(利益があった場合)
譲渡所得の税率

所得税15% + 地方税5%

ただ、譲渡所得には特別控除が50万円あるので、年間50万円以下の譲渡所得であれば所得税も地方税もかかりません。

金地金取引以外に譲渡所得がある場合には、合算した結果が50万円以下なら税金がかからずに済みます。

譲渡所得の特別控除
年間50万円以下の譲渡所得

所得税0 + 地方税0
税金はかかりません

金地金取引とそれ以外の譲渡所得の
合算が年間50万円以下

所得税0 + 地方税0
税金はかかりません

年間50万円より大きい譲渡所得

所得税15% + 地方税5%

金地金取引とそれ以外の譲渡所得の合算が
年間50万円より大きい譲渡所得

所得税15% + 地方税5%

また、譲渡した物の所有期間によって課税所得の計算方法が異なります。5年以内の場合には短期譲渡所得になり、利益から特別控除の50万円を引いた金額が課税対象です。

しかし、5年を超えて金地金を保有していた場合には長期譲渡所得になって、譲渡所得が半分になる優遇措置があります。短期投資では譲渡税が大きくなるリスクがあるので注意が必要です。

金地金の盗難や紛失

金地金取引による投資では盗難や紛失のリスクがあります。金自体は安定性が高いので、鉄や銅のように錆びて品質が低下するリスクはありません。

しかし、価値のある資産として知られているため、金地金があるのを見た人が盗みに入る可能性があります。重量の軽い金地金ならカバンや財布に入れて持ち歩くこともできますが、スリに遭ったり、置き引きに遭ったり、財布を落としたりしてしまって失う場合もあるので注意が必要です。

金地金は銀行や専門業者の金庫に預けて管理することも可能です。自分で持っていると失くしてしまうリスクがある点に注意して管理方法を考える必要があります。

流動性の課題

金地金取引では流動性が課題になります。資産として持っている金地金を売って現金にしたいと思ったときに、買ってくれる人がいなければ現金にできません。

貴金属の買取業者や金地金業者では金を買い取っていることが多いので、売ること自体は可能です。しかし、業者に金地金を渡し、金の品質などについての査定を受けて買取価格を提示してもらうというプロセスが必要になります。

金地金は流動性が比較的高い資産ですが、銀行預金をATMで下ろすようなスピード感で現金にすることはできません。

資産の流動性リスクは念頭に置いておいた方が良いでしょう。

少額取引への対応

金地金取引では少額取引のリスクが高いのが特徴です。金地金は1gに成型されたインゴットが販売されているため、1gから購入できます。

1gの金地金は2023年9月時点で1万前後の価格で取引されています。1万円なら少額取引から始められると考えると悪くはないと思うかもしれません。

しかし、上述のように500g未満の金地金には購入手数料や売却手数料がかかります。例えば、多くの金地金業者では5gまたは10gの金地金の販売や買取をしています。
この際の金の購入手数料は1,980円~4,400円程度です。

売却手数料は無料のところもありますが、2,200円~6,600円くらいかかる業者もあります。すると、金1gが1万円としたときに、5万円~10万円の金を売買するのにトータルで4千円~1万円くらいかかる計算になります。

例)徳力本店で5gの金の売買を
行う場合にかかる手数料
購入手数料

2,200円

売却手数料

550円

このような大きな手数料がかかると、その分だけ大きな利益を得なければならないのがデメリットです。

金地金取引のリスク対策

金地金取引にはリスクがありますが、対策をして取引を進めることは可能です。
ここでは金投資に興味を持った人のためにリスク対策の方法を紹介します。

長期投資を前提とする

金地金取引では長期投資を前提としましょう。金は長期的には価値が上昇し続けているので、数年間、数十年間の保有をすれば資産価値はきっと上がります。

日本の税制では5年を超えて保有すれば節税になるため、税金による損失を減らすには5年を超える運用をすることが大切です。

金地金の受け取りをしない

金地金取引では購入したときに金地金を受け取らずに、金地金業者に保管してもらうことでリスクを減らせます。盗難や紛失のリスクがなくなるからです。

また、金地金の送料の負担がなくなるため、投資利益を得やすくなるメリットもあります。

各業者の送料
徳力本店

2,200円
3kg以上送料無料

北辰物産株式会社

5,500円
1kgあたり

田中貴金属

2,200円
一口25kgまで

保管にも対応している金地金業者を利用するとスムーズにリスクの低い取引ができます。

流動性の高い金商品を選ぶ

流動性を重視して金商品を選ぶのも大切です。すぐに現金にしたいと思ったときに、手続きをスムーズにおこなえる業者やサービスを選びましょう。

金地金を宅配便などでやり取りすると時間がかかるので、近くに店舗があって売買できると便利です。

金地金を受け取らないなら、金地金のやり取りがないので取引がさらにスムーズになります。オンライン取引に対応している金地金業者なら購入も売却もタイムリーにできるので、利益を最大化できるでしょう。

少額から始められるサービスを選ぶ

金地金取引が初めての人や資産総額が多くない人にとって少額から始められるサービスが魅力的でしょう。手数料無料で金地金を売買するには通常は500g単位なので、500万円くらい必要になります。

しかし、プール共有型金商品のようにスプレッド分の手数料が発生するだけで、1gや1万円といった少量・少額から始められる金商品もあります。プール共有型金商品は金地金を保管してもらえるサービスも整っているので、初めて金を運用するときにおすすめです。

関連記事

プール共有型金商品の特徴

まとめ

金地金取引には一般的な投資と同じように価格変動リスクはありますが、長期的には価格が上がってきた歴史があります。長期的には価値が上がる可能性が高いので、長期投資に活用しましょう。

金地金は少額では購入手数料や売却手数料がかかります。しかし、少額投資に向いているプール共有型金商品も選べるようになっています。

流動性が高くて消費税もかからないプール共有型金商品は金地金取引のリスク対策に必要な要素を兼ね備えている商品です。金地金取引を始めるときにはまずはプール共有型金商品から始めましょう。